2021年9月17日金曜日

しまかんこうほてる

病床の父を見舞っていた時、まだ少し会話が交わせていたある日、
「今まで食べた物で、もう一回食べたいなってモノある?」って聞いてみました。

流動食も入らなくなっていた病人に、何を聞いとるのかとも思うのですが、
「…志摩観光ホテルの鮑のステーキ」って、割とはっきりと答えてくれて驚きました。

「何それw、志摩観光ホテルって所じゃないとあかんの?」
「…ウン」と頷き、その後はまた夢と現の間を行き交っていきました。

私がその光景を思い出したのは、それから数年後、
2016年の伊勢志摩サミットが行われた時です。

そのホテルがG7サミットの会場となり、
女性料理長が各国首脳に料理を振る舞うというニュースを耳にし、
ホテルHPで、例の「鮑のステーキ」が看板メニューの一つであることを知りました。

「こりゃ、どうせしばらく予約はできないだろうなあ」と思いながら、
いつしか、そのことも忘れてしまっていました。

早いもので、その父親の13回忌が今年5月でして、
兄家族と私だけで簡単に法要を済ませた時に、またふと思い出したんです。

もしかして、コロナ禍の今ならかえって予約取れるかも…

そして行ってきましたよ。
遂に、この夏、小学校の修学旅行以来のお伊勢参り。

当時は意外に小さくてがっかりした夫婦岩…いや、趣ありますやん。
全く記憶にない伊勢神宮…荘厳、来て良かった。最高。家内安全、コロナ退散。
伊勢うどん…思ったより悪くないね。
手ごね寿司…思った以上にインパクトないね。
赤福…かき氷最高!

そして、そして、「ラ・メール」で頂く、トラディションコース…
意外と2番バッター位の早めに順序で、それは運ばれて来ました。

「これか…」と感慨に耽る私、
「お〜確かに美味いな」って、もう食べとるんかい息子!

鮑のステーキは、鮑のバター焼きとは全く違うんですね…うん美味。

他の物もとてもおいしく、最後はあの女性料理長(樋口シェフ)が、
挨拶に周って来られました。(コースが終わった席を全て回られていたようです。)
思い出は胸にしまい、感謝の言葉を掛けさせていただきました。

充実した1日となりました。

後日、母親にこの美しい話をすると、
「私、連れて行ってもらってない!会社の人らと行ったんやわ。」と怒ってました。

その辺はちゃんとしておいて欲しかったですよ、お父さん。





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