2010年3月14日日曜日

「事実」と「意見」

先日読んでいた本の中で、「事実」と「意見」ということについての記載がありました。最近の新聞・テレビの報道姿勢にうんざりしていたのですが、これを人に伝えるのに的確な表現が見当たらずモヤモヤしていた時にこの二つの言葉に出会いました。客観的な「事実」という情報が欲しいだけなのに、「意見」が散りばめられた情報の多いこと…。取捨選択しながら情報収集しています。同様に感じておられる人も多いと思います。
産婦人科分野では奈良県大淀町の「妊婦たらいまわし(このような表現自体許し難いです)事件」の顛末はメディアが一方的な「意見」を著した一例です。結局この事件は刑事はもちろん民事も遺族側の全面敗訴となりました。しかし当初の医療ミスを思わせるようなセンセーショナルな報道は遺族や医療従事者の心を折るに十分なものがありました。皆さんの中にも医療事故という印象を残したままなのではないでしょうか?「事実」だけを報道していたら問題点のみが浮き彫りになったはずです。
自身の体験でも、私をドキュメンタリー番組に取り上げてくれたテレビ局のプロデューサーさんは何日間も丁寧に取材しながら「印象に残った場面や言葉を積み上げていって、後は視聴者に感じてもらいます。」と語っておられました。しかし、その後に来た某局は「ここで会議してる様子とか撮らせてくださーい。」と自分たちの描いた絵にのせようと突貫工事の様相でした。(ネガティブな放送でなかったのは幸いですが。)メディア業界の中でもそれぞれ葛藤はあると思いますが、受け取り手側である私たちもしっかりと吟味しないといけません。

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