2010年2月11日木曜日

HPV検査に関するあれこれ

 新体制で始まった2010年も1月中はややバタバタした感じがありましたが、2月は落ち着いています。子宮がん検診の時にHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を希望される人がますます増えてきて、受託業者も「結構、希望される人が多いのですね。」と驚いておられました。
 先日ある会合に参加した折、避妊教育で有名な地方の先生が「HPV検査なんて高いからしなくていい。1万円位するでしょう?ワクチン打って癌検診しとけばいいのよ。」と発言されていました。ある意味正論なのですが、前半部分に若干の違和感がありました。(しかもウチは¥4200円だし…)
 何種類ものハイリスクHPVを同時に持っている人は少なく、今回のワクチンはそのうちの主要な2種類に効果があります。片一方を持っていたとしても、もう一方のタイプにはワクチンによる予防効果が期待出来るということです。ですから、「検査すること」と「ワクチンを打つこと」は別物です。また20代前半の方はHPV検査で疑陽性の人が多く検診意義は低いと言われています。世界的にもそうですし当院でもこの年代には勧めていません。(注)していけないというわけではありません。必要性が低いということです。
 しかし、20代後半からの人にはどうでしょうか?そもそも、子宮がん検診で再検査が必要になった時に、ハイリスクHPVを持っているかどうかは大きな問題です。HPV(-)であれば当面心配は要りません。しかし、HPV(+)なら、この先前癌病変といわれるところに進む可能性が高くなります。白黒がつけやすい検査ということです。ですからHPV検査が「検診」の段階で必要かどうか議論が分かれても、「診断」には重要であるというのは議論を待ちません。
 でも、それならばコストさえ見合えば「検診」の時についでに調べて欲しいという方も出てくるはずです。(現に多いですし)。ワンステップで結論が出るからです。後は検査費用が「高い」と思うか「妥当」と思うかだけであり、いずれにせよ「しなくていい」は誤解を生むでしょう。まあ、今後指針が出てくるでしょうから、それまで当院としては「安心を買うか」「こまめに検診に来るか」を利用者に選んでもらう今のスタンスで行こうと考えています。
 客観的な費用対効果の議論よりも、「ちょっと調べてもらおうかな」「もっと安かったら調べてみたいなー。」って仰るその現場での主観的な声自体が既にガンへの関心を高めていることになっている。私はそこが一番重要であると考えています。

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