2025年6月25日水曜日

久しぶりにピルの新作が出た

 ジェネリック薬の広がりはあっても、久しく新製品の販売がなかった低用量ピルに新製品が2つ登場しました。

昨年末に発売された「アリッサ配合錠」と今月末に発売される「スリンダ錠」です。


「アリッサ」は保険適用のある月経困難症治療薬として、「スリンダ錠」は避妊薬として保険適用外で認可されました。

当クリニックは非常に多くのピルユーザーに来院いただいていますので、私の場合はどうしたら良いのか?と悩まれる方もいらっしゃるかと思います。


簡潔に述べさせていただくならば、今のピルで不満がなければ変える必要なしです。

しかしながら、血栓症がどうしても心配、肥満の方、喫煙者の方はお薬を変える良い機会となりそうです。


独断と偏見でおすすめ順に述べさせていただくと、

血栓リスク少)   スリンダ>アリッサ>従来ピル

価格メリット)  従来ピル>アリッサ>スリンダ

長期安全性)   スリンダ>従来ピル>アリッサ

シート途中の出血)従来ピル=アリッサ>スリンダ

それぞれ僅差ではありますが、上記のように感じています。

(ジェノゲスト、アザリアはスリンダに近いものと考えてください)


組み合わせによってお互いの弱点が消せる場合があり、アイデアも持ってますので、皆様のご希望に合わせてベストな処方ができたらと考えています。


めずらしく、至って真面目な文章が書けました。

なんかオチが書きたい…


2025年5月25日日曜日

インスタ

先日、ホテル内のレストランで夫婦で食事をしていた時のこと、締めの一品が色鮮やかな盛り付けで運ばれてきた。

にっこり顔の私たちを見て、給仕の女性が「お写真(撮らなくて)、大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。

しかしながら、それは食事をしているフルムーンカップルを撮りましょうかというレコメンドではなく、インスタにあげないのかというお誘いであった。

少し斜めに傾けられた土鍋は、まだ彼女の胸のまえに掲げられていたからだ。

いとわろし(たいそう興醒めなことよのう)


私自身は、食事をSNSにあげる趣味はないのだが、お仲間にはたくさんいます。

みんなマメだなあと感心しています。

港区女子がアップしていれば、すわ承認欲求か?と眉を顰めるのですが、私の友人たちがやるからには、そこに何らかの意味合いがあるのではと考察します。

もっと深い理由が…


あの店行った、この店行った、などという承認欲求や自己顕示欲、はたまたポケモンカードを集めるが如くの達成感であろうはずがないのです。

本人らに聞けよって思うかもしれませんが、「久しぶり〜どうしてる?なんでインスタ撮るん」とか失礼にも程があります。親しき仲にも礼儀あり。


あそこ行った、あれ食べたであれば、絵葉書や雑誌の切り抜きで良いわけで、料理の写真をアーガイブすることの意義とは思えない。どこで誰と食べ、どう感じたかが重要な筈であり、彼らは皆それに気づいている。

脳科学的には、美味しい、幸せ、キレイといった感覚も神経伝達物質で脳に信号が送られることで得られる現象だという。

そうか、アーガイブした写真を見返すことによって、あの時のあの感覚が、矮小化されたにせよ再現されるという訳か。

それは、店の雰囲気や食事相手との空気感、旅先で感じた街の気配をも試食サイズで呼び覚ましてくれるかもしれない。それはメモ書きよりはるかに有用であろう。


「年甲斐もなく、こんなんやってんねん…」と前置きしながら写真を撮る友人達が、例に漏れず几帳面な人たちであったことを思い浮かべた。

(あの人たちは記憶の整理もできていたのか…)


ようは徒然なるままの日記みたいなものなのか?

instant gramとは「瞬時の電報」という意味らしい。

付箋に書かれたメモ書きの写真版か…

そう思うと、いとをかし(たいそう趣のあることよのう)


だったら、レストランの彼女の言うがまま、写真撮ってもよかったかな。

ま、それでも面倒くさがりなので、アップはしないと思うけど。

2025年4月18日金曜日

何気に今年一発目

最近よく休診にするせいか、ついに「先生、お身体の具合悪いんですか?」と聞かれてしまいました。

いいえ、むしろ絶好調です。


年明けから、看護師さんなどスタッフの引き継ぎがうまく埋めれず、こんな感じになっちゃってます。

人事は一難去ってまた一難と、未解決状態が続いております。

(来たけど合わなかったり、採用直後なのに家庭事情で…とか)


こんな時でも、「慌てない慌てない一休み一休み」の精神で、呑気にゴルフしたり、サウナ道に勤しめているのも、年の功なんでしょう。

ま、そのうちなんとかなるでしょう。


唐突ですが、医者の子供は医者になるのが当たり前って思ってませんか?

確かに、私の知り合いの医師は、自身がそうでなくても、ご子息、ご令嬢が医師になっている方が多いです。

親が良い背中を見せているのか、環境か、遺伝子か…

うちは数少ないパターンの方で、医師ではありません。

(私たち夫婦も医師の家系ではありません)


どんなものを目指すにせよ、皆努力しています。

医師、一流企業、研究者、会社経営者、…皆、努力して勝ち得るものだと思います。

コネや金を積んでスタートラインに立ったところで、身の程に合わないものは、早晩手のひらから落ちてしまうでしょう。


しかしながら、人生において、努力した経験は絶対に無駄にはならないが、結果として報われない場合もあります。

親なら誰でも、子には「努力が報われる人生であって欲しい」と願うものです。


私もいつも願うばかりで、努力が報われなかった人生にかけてあげる言葉を持っていない。

自身の受験や仕事、努力は最後には報われてきたし、より一層の努力は避けて来たのかもしれない。


東京藝大といえば、本邦の芸術分野の最高峰で、才能溢れた異能集団として知られている。

最近では、その激しい競争が漫画や映画、書籍でもよく取り上げられているが、私は彼らの才能に目を奪われ、その努力にまでは思いが至らなかった。

医師のなった子達も、アスリートも東大生も、ノーベル賞受賞者も才能だけではないのだ、当たり前だ。


息子はその藝大生になった。

「努力の報われる人生であって良かった」

合格を知らせるLINEには、そう返信した。


彼の戦友の多くは、また戦地に戻ったり、別の岸に辿り着いたそうだ。

私が親なら、彼らになんと声をかけるだろうか?

ゴールはそこじゃない、まだ終わりじゃない…か?(これは盗作)


幸か不幸か、私の中の欠けた語彙は今回もまた埋まることがなかった。





2024年12月28日土曜日

私は82歳で死にたい

 あっという間の1年でした…といつもの年末にはつぶやいておりましたが、今年は例年よりゆっくり時が過ぎたように思います。

久しぶりのカナダや札幌、愛媛、色々旅したせいもあったでしょうし、実家を引き払ったり、色々清算すべきものがあったり、訃報も多く人生を見つめ直す機会が多かったせいもあるかも知れません。


年末最後の投稿はいささかショッキングなタイトルではありますが、何のことはない、昔、手に取った『私は77歳で死にたい』という本の題名をもじっただけです。邱永漢(きゅう えいかん)さんという当時よく財テク本を書いておられた方の著作です。

内容はよく覚えていないのですが、当時の男性の平均寿命が77歳だったので、そこから逆算して人生設計しなさいよってことだったと思います。寿命と余命は違いますので、邱さんは結局88歳で亡くなっていますが、設定した寿命から長生きしたらそれは神様からのプレゼントだと思いなさいってことも書いてあったような気がします。

素敵な考え方だなと思い、私自身も『77歳』をイメージして生きてまいりましたが、ここに来て時代も変わり、それはちと早すぎるかと思い直し、『+5歳』設定に変更し、そのためにも現状より5歳若返る方向に舵を切りました。


50歳から週に2、3回はジムに行くようになり(当初はオーバートレーニングで体調不良)、NMNやマルチビタミンを摂取し、酒量も控えめにし、そのせいか最近は患者さんからも「(オッサンにしては)お肌がキレイ」と言われるまでになりました。

来年3月に55歳になる時に、50歳で通用すれば、タイムリープ計画は成功なのですが、最大の懸案事項は毛髪問題です。フサフサのほうが若々しく見えることに異論はないと思いますが、長年薄毛に悩まされてきた私は、開業によりAGA治療薬が容易に入手できたことで、何とかこの年まで体裁を保っている(?)状況です。

自分でも意外だったのは、横山ノック型になるかと思っていたのが、どちらかといえばザビエル型であったこと。このタイプは部分カツラなどを乗っければ結構サマになると思うのですが、女性用のそれが「おしゃれウィッグ」と呼ばれ、いくつになっても身だしなみに気をつけているなあと好印象なのに比べ、男性用は「ズラ」と侮蔑的に呼ばれた挙句、「潔くない」「取ったところを見せろ」「自分なら全部剃る」…など数多くの十字架を背負わされる羽目になります。いっそ誰も知り合いのいない街で相棒の「ウィッグ」と共に…

…考え過ぎかも知れません。髪にも良くないので、この辺でやめておきましょう。年の終わりにアホな話題でした。


本年も当院を応援いただきありがとうございます。

来年も皆様にとって良い年でありますように、微力ながらお手伝いさせていただきます。

2024年9月16日月曜日

衣食住そして薬

4月に親の里である愛媛に一人で行ってきた。実に40年ぶりである。

そこは佐田岬半島という細長い半島の先端で、

豊予海峡を挟んで向かいは大分、北は瀬戸内海、南は太平洋という温暖で風光明媚な所だ。


80歳を超えた叔父と叔母も会いたがってくれていて、

叔父自らが前日に潜って獲ってきてくれたサザエ、鮑、

叔母が漁協で詰めてきてくれたウニなど、

とても食べきれない量の海のおもてなしを肴に語り明かした。


幼少期には毎年夏休みを過ごしていた場所である。

そこはまさに「ぼくのなつやすみ」の世界だった。

私は幼少の記憶を頼りに従兄弟の住む離れた集落まで足を運んだ。


「あっちに行ってももう何にも無いぞ」という叔父の言葉を背に向かったのだが、

確かに何も無かった、いや正確には人の気配が無かった。

あの海水浴に行く途中にあった雑貨屋の建物も、石積みの壁も、お地蔵さんも、

往時の面影のままなのに人だけがいなかった。


唯一の診療所も長く勤めていた地元出身のドクターが引退され、

今は週2回ほど、一番近い総合病院からドクターが派遣される日だけ開いているそうだ。

「Dr.コトー」がいなくなってしまった状況だ。


兼好法師の言葉を借りるならば、

「衣食住」そして「薬」(今で言うと医療機関にあたるだろう)が揃って、

「豊か」と呼べる。

その一翼が欠けたこの町は、日本の他の田舎町と同じように衰退していくであろう。

漁船の数も減ったせいか、港湾内の水まで澄んで美しかった。


40年前までは「どこの子ね?」といつも尋ねられ、

親の名前を出せば「あ〜、あそこの!」とお決まりの会話が飛び交っていたものだ。

その親もあの世に行き、もはや親を知る者もいなくなっていた。

もう、この地に生まれ育った訳でも無い私にとってはここは只の過去に過ぎない。


私はここに再び来ることがあるのだろうか?

サイドウインドウからの余りにも美しい景色を眺めながらそんなことを考えていた。

郷愁を感じるのは、ルーツがあるからなのか、昔馴染んだ景色だからか?

千と千尋のように、今引き返しても、実はもう何も無いんじゃないかという感覚が残る。


道はやがて、よくある地方都市の景色へと変わり、

そこでようやく、発泡スチロールの箱にぎっしり詰め込まれた

アワビ、サザエの配り先を探さねばと我に帰る。


帰り際に、80越えの漁師が、「天然の生簀に置いておいた」

と船から山程海産物の入った籠を引き揚げ、

ニカっと笑いながら「お前のために獲ったんだから、全部持って帰れよ」

と渡されたのだった。

前日あれほど食べたのに…どんだけ獲ってんねん。


あの人が元気な間にまた訪れるのも悪くないだろう

…ノスタルジックに浸るにはまだ早かったようだ。





2024年9月7日土曜日

忙しいのは良いことだと言い聞かせる

最近ブログ更新してませんよねって言われることが多くなりました。

ただただ忙しいのと、こんだけサボっちゃうと筆が乗らないんですよね。

とにかく体調は良いです。


1月は、奈良で年越しして久しぶりに興福寺や東大寺に行ったこと、

あともう年賀状書かんとこうって決めた事を書くつもりだったのに、

そこをサボったせいでこんなになっちゃいました。


40年ぶりくらいに、親の郷里である愛媛県に行ったこと、

5年ぶりにカナダに行って感じたこと、など色々あるんですが、

年終盤に向け、小出しにしていきましょう。


真面目な話で行くと、

ここ1年で自己愛性パーソナリティ(NPD)についての学びを得ました。


以前このブログで、私に不誠実なことを働いた輩がいたことをチラッと書いたと思います。

彼がまさにそれで、その関連で知識を深めていったのですが、

一定数そのような人間は存在し、以前勤務していた病院のあのパワハラ上司も、

最近相談を受けた一件の相手も、間違いなくNPDです。


中高の同級生である精神科医に、

このNPDについてのお勧めの専門書は無いのか尋ねたのですが、

性格分類であり、治療対象となるカテゴリーではないようで、

案外と一般書の方が優れているとの見解でした。


早速、『他人を攻撃せずにはいられない人』(片田珠美著)を手に取り、

頭の整理がついたところで、皆さんにも理解しやすい好例が出てきました。


今話題の兵庫県知事です。彼はまさしくこれでしょう。


”自己愛性パーソナリティ障害患者は自分の能力を過大評価し,自分の業績を誇張する。自分が優れている,独特である,または特別であると考えている。”(MSDマニュアル)


身近なパワハラ、モラハラ問題にはこのパーソナリティが潜んでいるようです。

忠実な取り巻きを作り、少しでもプライドを傷つけられると執拗かつ陰湿に攻撃してきますので、

ターゲットにされたら大変なことになります。

(今回も追い詰められた方がお亡くなりました。)


本人は絶対反省、改心することはありませんが、

皆で協力し、白日の元で事実関係を晒すのが効果的だと思います。


同じようなことで悩んでおられる方は逃げる、離れる。

逃げられない状況の時(職場、親族など)は、

一人で抱え込まず、事実関係を積み上げて法律相談を受けてくださいね。


彼らの末路は?

”恥なくてよいことを恥じ、恥ずべきことを恥じない人々は、邪(よこしま)な見解をいだいて、悪いところ(=地獄)におもむく”(ブッダの真理の言葉・感興の言葉 中村元訳)

実際不思議なほど、みな孤独で不幸な晩年を過ごすことが多いそうです。

ブッダってやっぱ悟ってますね。








2023年12月29日金曜日

町中華好き

28日午前診にて、本年の診療が終了いたしました。

例年の最終日はかなり混雑するのですが、今年はいつもの木曜日と変わらない感じでした。

分散型の年末といった感じです。


いつもの木曜日は、このあと夕方から「スパ水春」に繰り出し、サウナ2〜3セットで整え、英気を養うというのが私のルーティーンとなるのですが、

今回初めて、隣にそびえる「ベイコート芦屋」に宿泊する機会を得ました。

キャンセル待ちが当たってとてもラッキーでした。


エントランスから異世界空間で、内部も噂に違わぬラグジュアリー、

スパで星空を見ながらジャグジーに浸かった日にゃ、

1年の終わりにご褒美をもらったようで、至極満足な体験が出来ました。

アメリカのヒップホップのMVみたいやなあと一人ニヤけておりました。

(もちろん、シャンパングラスやホットなお姉さんなどは用意されていません)


例えるならベイコートがレストランで、水春が町中華って感じでしょうか?

その上で町中華の良さっていうのも再認識しましたが…(風呂上がりに「マッチ」飲めるし)


ただ、水春からあれだけ見えているのに、ベイコートから水春は気にならない。


最近、国が国民の生活を顧みる素振りを見せないのは、本当には見ていない、

見えていないんだろうなとふと感じました。


何の話やねんって感じで1年を締めてしまいましたね、グダグダ。


とにかく本年もありがとうございました。

来年も皆様にとって良い年でありますようにお祈り申し上げます。

年明けは5日(金)から診療再開いたします。


芦屋の町中華クリニック 店主



ブログ アーカイブ

自己紹介

芦屋市, 兵庫県
阪神芦屋駅北へ徒歩2分。JR芦屋・阪急芦屋川からも徒歩8分の便利なクリニックです。